
米先任!
多古町の米問屋さんに行ってきたであります!
卸売って、ただの“中間”じゃなかったんですね!
ふむ。
米は“作って終わり”じゃない。
保管も調整も、そして物流もすべて含めて“農業”なんじゃ。


巨大な倉庫でお米がきっちり保管されてて、温度管理までされてるなんて…
プロの仕事を感じたであります!
卸が玄米を一括で引き受けるからこそ、農家は安心して作付けできる。
まさに“川上”を支える屋台骨よ。


SNSで“中抜き”って言われがちだけど、
実際はめちゃくちゃ重要な役割だったであります!
世の中、見えるとこばかりが評価されがちじゃ。
だが、縁の下の力こそが本当の支えというものよ。


物流の人手不足も深刻でした…
でも、自衛官って大型免許持ってる人も多いし、力仕事にも強い!
うむ。
おぬしらのような機動力ある者が、次の“支える側”になる番じゃ。
任務はまだまだ続くぞ!

ー概要ー
多古町の名物行事「あじさい祭り」での出会いをきっかけに、創業 100 年以上の歴史を誇る多古町の米問屋 「渡辺与四郎商店」 (千葉県香取郡多古町井戸山)を訪問し、倉庫と業務の現場を見学させていただきました。現当主・渡辺 摂 (おさむ)さんからは、米流通の“川上”で卸売業者が果たす役割や物流を含む農業界全体の人材不足に直面する現場の課題まで、幅広いお話を伺いました。
【渡辺与四郎商店を訪ねるまでの経緯】
「あじさい祭りでの出会い」
2025年6月15日に開催された「第 41 回ふるさと多古町あじさい祭り」でご挨拶をさせていただき、農業自衛隊の活動内容に共感してくださり「ぜひ倉庫に来て、米問屋の仕事を見てほしい」とお声がけいただき、訪問が実現しました。
【渡辺与四郎商店とは】
「“川上”を担う卸売」
同社は生産者に最も近い流通段階である“川上(かわかみ)”を担当しています。
お米の等級を判別する資格を取得されており、農家から玄米を集荷・保管するプロフェッショナルです。
「100年以上続く老舗」
先々代の与四郎氏から続く歴史は100年を超え、現当主の摂さんは多古米グランプリ実行委員会副会長として地域活性にも貢献しています。

【米流通の仕組みと卸売の使命】
「 米は“保管・管理・物流”で価値を守る」
・農業は「作れば終わり」ではなく、玄米の乾燥調製、温湿度管理、籾殻処理など精緻な保管技術が不可欠であるそうです。
・卸売は価格形成・需給情報伝達・分荷のハブを担い、生産物の品質と市場安定を支えています。
「 “川上→川下”を結ぶ流通ルート」
・典型的な流れは「農家 →(JA集荷)→ 卸売業者 → 小売・外食・加工 → 消費者」であります。
もちろん、ネット販売等により農家さんから直接消費者へ売ることもあるそうです。
・川上側で玄米を一括引き受ける卸売がいるからこそ、農家様はお米を安心して出荷できるそうです。
【ネット等によるJAや卸売業への批判の誤解】
SNSや一部メディアで見られる「JA解体論」「中抜き批判」などがありますが、これは実態を知らないから言えるのではないでしょうか。
JAや卸売が担う価格調整・在庫リスク吸収機能がなくなれば、生産現場は不安定化し、結果的に消費者も損をする可能性が高いと判断できると思います。
農家さんが生産する何十トンにもなるお米を自ら売り切るのは現実的ではないと思いました。
卸売業は間違いなく必要です。
【物流人材不足と退職自衛官の可能性】
「人手不足の深刻化」
農業でも物流業でも高齢化により担い手が減少し、大型車運転や重量物取扱いの労力が限界に近づいています。
「自衛官との親和性」
自衛官は、大型免許を取得している方が多数存在します。そのような方々が農業の一端を担うのは非常に親和性があると感じました。
【学び】
「流通全体があってこその農業」
生産者・卸・小売・物流が一体となって初めて食卓に安全な米が届くと実感しました。
「JAや卸売は“必要悪”ではなく“必要不可欠”」
価格安定と在庫リスク緩和の機能を再認識しました。
「人材不足は産官連携で解決へ」
退職自衛官の専門性と機動力が、米流通のサプライチェーン強化に寄与する余地は大きいと感じました。
【まとめ】
渡辺与四郎商店での見学を通じて、私たちは「作る」「運ぶ」「預かる」「売る」という一連のバトンがあってこそ“農業”が完結することを実感しました。
巨大な収穫物を一括で引き受ける卸売の存在、JAや物流業者のネットワーク、そして新たな担い手としての退職自衛官
これらが有機的に結び付くことで、多古町の豊かな田園と日本の食卓を守ることが出来ると確信しました。
-追伸-
このたびは、私たち農業自衛隊の想いに深く共感し、農業における卸売の知見を惜しみなくご教示くださいましたこと、心より御礼申し上げます。卸売業は農家を支える“縁の下の力持ち”であり、農業に欠かすことのできない重要な役割であることを改めて実感いたしました。また、卸売のみならず物流部門を含め、現場が深刻な人材不足に直面している現状も痛感いたしました。
私たち農業自衛隊の使命は、退職自衛官の新たなキャリアの選択肢として農業の魅力を伝え、農業界の人材不足解消に寄与することにあります。今回の学びを胸に、より一層精進してまいります。