世界の農法シリーズ#8「アイガモ農法」

世界の農法シリーズ
トマト士長
トマト士長

米先任、お疲れ様です!!
アイガモ農法って何でありますか?

アイガモ農法は田んぼにアイガモを放ち、
害虫や雑草を食べてフンを肥料にしてくれる
循環型農法じゃ!

米先任
米先任
トマト士長
トマト士長

すごい!
アイガモが愛おしくなるであります!

ん…
最後は食べるんじゃよ。

米先任
米先任
トマト士長
トマト士長

え…

「雑草も害虫もアイガモ任せ!?」――ヒナが泳げば田んぼがよみがえる自然循環型稲作

合鴨(アイガモ)を水田に放すと――雑草を食べ、害虫をついばみ、足かきで水を濁らせて稲に刺激を与え、フンはそのまま有機肥料に。アイガモ農法は、化学農薬と除草剤をほぼゼロに抑えつつ、慣行並みの収量を確保できる“動物×稲作”の協働システムです。近年は 「アイガモロボ」 などスマート農機と融合し、温室効果ガス削減の切り札としても注目を集めています。


1.ごあいさつ

世界の農法シリーズ第9回は、日本発の アイガモ農法「アイガモが働く田んぼ」 が持続可能なコメづくりの現場で息づいています。

Point! アイガモ農法は水田雑草を最大 96 % 抑制し、害虫被害をほぼゼロにした実験報告が複数あります。

2.アイガモ農法とは?

2-1 歴史と発展

年代主な出来事
平安期アヒル・アイガモが中国から渡来し家禽化
安土桃山豊臣秀吉が水田でのアヒル放飼を奨励
1950 年代農薬普及で水禽放飼は一度衰退
1985荒田清耕氏が「アイガモ除草法」を確立
1990富山で第1回合鴨除草懇談会開催
1991古野隆雄氏が「合鴨水稲同時作」を体系化、全国合鴨水稲会設立
1994–岡山大学が 0 日齢ヒナ放飼・出穂後同時作を開発
2000 年代アジア各国へ技術移転、FAO が事例化

2-2 基本メカニズム

  1. 除草・駆虫 — アイガモが萌芽雑草・ウンカ等を捕食し、雑草発生を 90 %以上抑制。
  2. 中耕濁水 — 泳ぎによる攪拌で水を濁らせ、光を遮って雑草を抑え、稲根に酸素を供給。
  3. 有機施肥 — フンが即効性窒素源となり、化成肥料投入量を最大 50 %削減。
  4. 畜産複合 — 出穂前に引き上げたカモを肥育し、鴨肉・卵として販売。

3.導入手順

Step作業留意点
1田植え7–10日後に生後7–10日のヒナを40–50羽/10aで放飼防鳥ネットと電気柵で外敵&逸走対策
2水深6–8 cmを維持し、深水除草を補完低水位だと除草効果低下
3追肥は有機液肥を少量、農薬は不使用JAS有機認証と親和性高い
4出穂(7月末〜8月)前にカモを回収し別舎で肥育穂食害を防止
5稲刈り後、鴨肉を出荷・自家消費6 月放飼→10 月出荷が目安

4.主なメリット

4-1 環境・収量

  • 無農薬・減肥料 — 除草剤ゼロ、化学肥料 30–50 %削減でも慣行並み反収を維持。
  • GHG削減 — メタン排出が慣行比 30–50 %低下との東北大実証。
  • 生物多様性 — 農薬フリーの水田がトンボ・カエル・ドジョウの生息地を回復。

4-2 経済・社会

  • ダブルインカム — 米+鴨肉で粗収益 1.3–1.6 倍、プレミア価格の有機米市場を開拓。
  • 教育・ツーリズム — カモの放飼風景が体験学習・観光資源となり、ファームステイ誘客も実績。

5.「有事対応力」

リスクアイガモ農法での対策
農薬・肥料輸入停止生物除草・フン施肥で外部資材依存を最小化
人手不足ヒナ管理を自動給餌器
気候変動GHG削減+水田生態系強化で環境耐性向上

6.まとめ 〜「ヒナが働き、田が笑う」循環型稲作の現在地〜

「カモが雑草を食べ、フンが稲を養い、稲が人とカモを支える。」

アイガモ農法は、環境保全・経済性・レジリエンスを兼ね備えた日本発のアグロエコロジーです。30 年以上の改善で技術は成熟し、ロボティクスとの融合でさらなる省力化も考えられます。


参照文献

  1. 荒田清耕『アイガモ農法』桂書房 1993 年kouseiren-ta.or.jp
  2. みんなの農業広場「アイガモ・水稲同時作」解説 2020 年改訂jeinou.com
  3. Wikipedia「合鴨農法」ja.wikipedia.org
  4. 東北大学 GHG削減実証 2022 年報告kouseiren-ta.or.jp
  5. 農林水産省 有機稲作資料 2023 年版japan-soil.net
  6. PR TIMES「アイガモロボ」リリース 2023 年ameblo.jp

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