昔の農機具が教えてくれたこと─“結”の精神と食料安全保障

司令発信

昔の農機具を見た時、農業の昔と今、を改めて実感しました。

昔の農業は、人の手によるものや家畜使って、大規模生産ではなく、持続可能な小規模生産が主体であり、自然との調和を重視していました。
機械化は、進んでなかったですが、独自の農法と工夫しながら、収穫時期には、村の人たちがお互いに助け合いながら農業を営んでいました。
この助け合いは、『結』という日本人の伝統的な精神と慣習を表す言葉であり、昔の人たちは、肉体的に大変でしたが、お互いがお互いが助け合う精神や関係ができており、子供たちも、誰かの子供ではなく、村の子どもとして大切に育てられていました。

現代の農業は、産業革命による機械化、科学技術により、トラクター、収穫機だけでなく、ドローンやGPSなどにより、より効率的に、より大量生産できるようになっています。
これらは、急速な人口増加に対応するためには必要なことですが、これに伴う歪みもあるのだと思っています。

ところで、戦後、日本の農業における仕組みや政策が農家さんにとって、本当に望むものになってきてるのでしょうか?
調べればわかりますが、他国含めて既得権益者による都合の良いシステムに作り上げてる実態をどこまで、僕ら日本人は、知っているでしょうか。
今の日本の農業は、大規模農家と収入の少ない農家の二極化が進んでおり、後者の農家さんは、少子高齢化の状況や厳しい収益システムにより、後継者がおらず農業を辞めていく人達が増加している。

種も肥料も農薬や燃料も、その殆どを日本以外の国に依存してる、あまりにも脆弱な状況、状態、安全保障という観点から言えば、軍事力による防衛以上に、今この日本の食の安全保障は、極めて危機的で悲惨な状況と言わざるを得ないと思っています。
今、有事が起きて、他国からそれらが輸入されなくなったら、食べることが1月半ももたないと言われています。

「誰がこんな状況を作ったんだよ⁉︎」と
戦後の支配構造や骨抜きにされた日本人に対して、怒り心頭でブチ切れたいですが、それを今、言っても仕方ありません。
「今から、これから、動く仲間たちと、できる限りのことをやって行こう」と思っています。

令和の一揆とネットで一部やっていますが、僕らは、農家さんの痛みをどこまで他人事にしてていいのでしょうか?
農家さん達が、苦労しながら作り、色々な注文や搾取される仕組みに耐えながら、僕らに農作物を作って頂いてくれている。

彼らが作れなくなる状況を、そのまま傍観してていいのでしょうか?
それは、最終的に、僕らが食べられなくなることに繋がることも理解できていますか?

僕ら日本国民が、食(農業、漁業の安全や自給率等)だけでなく、土地(林業、里山、水脈等自然)、教育、医療、生活等、の現状(実態)とそうなっている原因(仕組み等)と小さくとも声を出して行動すること、が今の日本に求められていることなんだと、本気で思っています。

昔の農業は、確かに機械化されておらず、肉体的にきつかったとは思いますが、その中でもいろいろな工夫と『結』という人と人とが互いに助け合い、協力し合う生き方をしており、それは、世界中どこを探しても、そんな『和』の精神をもつ民族はいません。
これは、日本人の不易(普遍的)な精神であり、守らなければならない日本人のアイデンティティ(存在価値)であるはずです。

僕は、資本主義の貨幣価値だけが先行した社会は、もう限界に来ており、この大事(人が本当に幸せで豊かであること)なものを守りながら、いかにそれを活かす科学技術の活用や新しい仕組みの創造が必要不可欠だと、真面目に強く思っています。

昔の農機具から、こんな話に広がっちゃいましたが、普段から考えていることなんで、どんどん言葉になって出てきました😅
人それぞれ、意識の温度差やステージが違いますが、まずは『気づく』ことがスタートとして大切なことだと思います。

農業自衛隊 司令 松上 信一郎

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